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人材開発セクションへの異動をきっかけにキャリアコンサルタント資格を取得し、「キャリア開発支援制度」の立ち上げ等、精力的にご活躍される、株式会社あさひの高見様をご紹介いたします。どのエピソードも人との繋がりをとても大切にされる様子が伝わり、温かみのあるお話しぶりがとても印象的でした。社員がポジティブにそしていきいきと働いてもらえるようにと、様々なことに取り組んでいらっしゃいます。「人材開発の仕事に折角携わっているのだから」と、資格の取得はもちろん、自らも楽しみながら活動されているご様子は、やりがいとは何かということを、高見様ご自身の「キャリア」を通じて感じることができるかもしれません。
───高見さんがキャリアコンサルタント試験を受験された経緯を教えてください。
株式会社あさひに入社して、約10年間採用の業務に携わってきました。千数百名の採用に携わってきて、採用の仕事にやりがいを感じていましたが、2019年に現在の人材開発セクションに異動になったことが、キャリアコンサルタントを目指す大きなきっかけになりました。
採用後、活躍していきいきと働いている人もたくさんいましたが、一方で辞めてしまう人もそれなりの数いました。そのような人たちに対して、自分は何かできたのではないだろうかという思いが私の中にありました。
キャリアや人生で様々な悩みを抱えているケースを見てきたので、せっかく人材開発という仕事をするのであれば、当社で働いている社員がいきいきと働けるようサポートをしたいと思っていました。上司からも専門性をもっと高めるように言われていましたが、人事の専門性って何を指すのかよくわかっていなかったし、自分は採用しかできない。ならば、人事での強みを何か身に付けたい、それならキャリア開発がいいのではないかと思い、いろいろ調べてみたところ、キャリアコンサルタントという資格を見つけ、これを目指してみようと思ったわけです。
───高見さんは人材開発で、キャリア開発支援制度をお作りになったということですが、キャリアコンサルタントとして実際に貢献できていることとか、やりがいについて伺えますか。
そうですね。やりがいは、研修を実施した際に、社員からポジティブな空気が生まれる瞬間を感じる時でしょうか。研修の際は、必ずアンケートでフィードバックをもらっています。そのアンケートでは「キャリアにいい影響を及ぼすことができた」などポジティブなフィードバックを多数いただいておりますが、このような意見がすごく私のやりがいにつながっています。
参加者がキャリアビジョンをいきいきと語っている様子を見ると、私自身も自然と嬉しくなりますし、参加者に対して「ぜひ今語っていることを実現してもらいたい」と願う自分がいて、そんな気持ちを実感したとき、これが”やりがい”というものなのかな、と感じます。
───キャリア研修やキャリアカウンセリングの実施において、年代等によって、その対応で意識していることは何でしょうか。
キャリア開発支援制度を導入した当初の目的は、若手の離職防止というところにありました。入社3年までの早期離職の防止であるとか、入社10年ぐらいまで当社にいかに定着してもらうのか、いきいきと働いてもらうのか、そこにフォーカスして始めました。でも、年齢を重ねると悩みも多様化することは、研修後のアンケートから感じているところです。若い人はいい意味で希望や夢に溢れていて、それをどうやって実現したらいいのか、そんな悩みが多いと感じています。一方、5年、10年経つと、家庭を持ったりして、人によって悩みが様々になり、なかなか入社当時に描いていたビジョンは思った通りには実現できない、そんな風に変わっていると感じています。当社は、社員が約1,750名の組織なので、全員にこのキャリア開発支援が行き届くにはもう少し時間が必要です。
───社内でキャリア理論を学ぼうという活動もされているのですね。
そうです。キャリア理論勉強会を一番初めに企画したとき、私の中では毎回5名ぐらいで、こぢんまりとやっていきたいという気持ちで始めました。扱う理論はある種、専門的な内容なので、社員にとっては難しく感じたり、あまり興味がもてなかったりして、参加者はそれほど集まらないのでは、と思っていたのですけども、フタを開けてみると、本当に多くの社員が参加してくれました。理論の中でもわかりやすいところをピックアップして、その枠組みの中でグループワークを行い、自己理解や他者理解を深める、そんな進め方をしています。この勉強会でも必ずアンケートを取っていますが、理論を学んだ結果、「自分ごととして活用できた」という回答が圧倒的に多く、社員の役に立つことができたかな、と感じています。
正直に申しますと、私も養成講座で勉強したときはピンと来ていなかったというか、ただ合格するために学んでいたという感じでした。でも、今まさにそのキャリア理論勉強会を開催して、一人一人にその理論をもって、自身のキャリアを考えてもらうと、本当に活用できる理論がたくさんあることを実感します。何の理論も考慮しないでキャリアを考えることがいいときもあるかもしれませんが、理論というフレームワークに当てはめると自分の考えがより整理できるという意味では、いろいろなキャリア理論が、私だけではなくて、みんなにも役立っているということを心底感じますね。
───上位資格であるキャリアコンサルティング技能検定2級を取得した理由を教えてください。
理由は大きく2つあります。一つは、自分自身を高めたかったということです。そもそも国家資格キャリアコンサルタントを目指したことも専門性を高めたかったことが原点となります。
キャリアコンサルタント資格を取った時点では、資格は取ったけれども、キャリア支援者としては、まだ入口に立ったばかりという感覚が私の中にありました。自己研鑽を重ねるためには、専門書籍から知識を吸収したり、様々な講座を受講するなど、いろんな方法があります。その中でも資格の取得というのは、自分のスキルを可視化するという意味でわかりやすく、それならば、より上位のキャリアの資格に挑戦しようと思ったわけです。
二つ目は、私のキャリアカウンセリングが本当に社員の役に立っているのか、常に不安に思っていたことです。もっといい支援ができるのではないか、キャリアカウンセリングにおいてこの関わり方で良かったのか、本当に彼ら彼女たちにとっていい支援ができたのか、日々そういう思いがあったので、自分の専門性を目に見える形で証明する必要性を感じ、キャリアコンサルティング技能検定2級という目標に挑戦するに至りました。
また、この先もキャリア支援を続けて、ゆくゆくは1級にも挑戦したいと思っています。
───高見さんがここに至るまでに乗り越えてきた困難などがあれば教えてください。
困難ですか…。本当にこれもありがたいことですが、組織の中でキャリア開発支援を進めるにあたって、大きな反対などは今まで一切なくて、むしろやってくれという後押しがありました。もちろんディスカッションする中では、今のうちの会社に必要なのか?という声も一部からはありましたが、総論としてみんな賛成してくれました。
それはもともと当社の人事制度自体が「あさひは人でできている」という言葉が象徴する通り、本当に人のことを大事にしている企業で、そういった組織文化があったからだと思っています。
キャリア開発支援については、当初はもっと社内にキャリアコンサルタントを増やして、一つの部署としてキャリアカウンセリング活動していくことをイメージしていました。実は現在、社内にキャリアコンサルタントが私を含めてちょうど5名いて、その5名で今年からキャリアカウンセリングを年間100名ぐらいやっていこうという具体的な計画を立てています。そこまではようやく実現できそうかなというところです。
───そうすると、実質的にはイメージに近いところまでいっているということですね。キャリアカウンセリングについては、1人でされていた時と5名体制とで、何か意識することが変わってきましたか。
そうですね。まさにここからだなと思っているのですけども、実は私以外の4名は、現場や他部署で働きながらキャリアコンサルタント資格を取得しました。だから、まだ実務として60分間のキャリアカウンセリングを誰もやったことがない状況です。本人たちも不安に感じているようですし、私自身も実務経験のない者がキャリアカウンセリングをやって社員の支援になるのかどうか、そういう不安というか課題を感じています。その課題に対しては、キャリアコンサルティングの実践に向けたロープレの勉強会を社内でやろうと思っています。少なくとも月1回はみんなで練習し、さらに、各々の自己研鑽として、更新講習を受講したり、ロープレを養成講座当時の仲間とやるよう話しています。でも、実際にそのような実践に励んでいる人もいれば、仕事が忙しくてできていない人もいますね。
───社内のキャリアコンサルタントが、みんな違う部署に在籍することについてはどう思われますか。
私個人の考えとしては、いろいろな部署にキャリアコンサルタントが在籍する方がむしろいいと思っています。人事だけではなくて、様々な立場のキャリアコンサルタントがいて、男性女性、年代など、多様なメンバーが今ちょうど揃ってきているので、相談者が私たちの中から、自分に合うキャリアコンサルタントを選べるのがいいと思います。相性などあると思いますので、色々なバックグラウンドのキャリアコンサルタントがいるというのは良いことだと捉えています。
───まさにダイバーシティが実現できている感じですね。「あさひは人でできている」というフレーズはとても印象的で、グッと入ってきましたが、その辺の背景に関する高見さんの想いを少し聞かせていただけますか。
正直なところ「あさひは人でできている」というポリシーの誕生に関する細かい背景については私も詳しくないのですが、過去から振り返った当社の強みや経営理念を実現するために、どんなポリシーが必要なのかを検討した結果出来上がったと聞いています。これまで人を大事にしてきたからこそ、今のあさひがある。これからも同じような気持ちでやっていく。その思いが込められていると思っています。
───自分たちで作り上げたポリシーに基づいて人事体制ができて、そこで高見さんがキャリア支援に携わっていらっしゃるんですね。
高見さんがキャリアコンサルタント資格を取ってよかったとか、資格を取る前と取った後で変わったところがあれば伺えますか。
目的の一つであった専門性というものについては、まだ身についたとは言えないのですが、これが、私がこの先も歩んでいく専門の道だということは自信を持って言えるようになりましたし、周りからもそういう目で見てもらえているのではないかと感じています。
───これから先、高見さんが取り組みたいことがあれば教えてください。
キャリア開発支援って、決して一人でできるものとは思っていないんです。
こういう考え方を全社に浸透させていき、最終的にはそれぞれが自律的に自分らしくいきいきと働けるような組織にしていきたいと思って、様々なことをやっています。年に一度のキャリア面談については、店長にキャリア面談の方法を学んでもらって、各店舗で実施できるような取り組みも進めています。
今、感じている具体的な話になりますが、組織にいると、時として他責思考に陥る方が多いと感じます。自分らしく働けていなくて、上司が悪いとか、誰々が悪いとか、組織が悪いとか、下手をすれば世の中が悪いとか、そういった声が聞こえてくることもありますが、そんな状態では、いきいきとモチベーションを上げて仕事をすることは難しいです。もちろん誰かに愚痴を言ったり、悩みを聞いてもらったりすることが悪いと言っているのではありません。自分が大切にしたいことって何なのか、自己概念って、価値観って何なのかを一人一人に明確化してもらう。そして、自分の価値観に基づいて、どんなキャリアを築いていきたいのかを自分たちで考えてもらう。それから、それぞれの目標を目指して自分で前に進んでいく。そんな組織にしていければ、と思っています。
───なるほど。キャリア開発支援を通して、社員それぞれが自分の価値観に基づき、自律的に自分らしく働けるようになり、その集合体である組織全体も前に向かって進んでいくことを目指していらっしゃるということですね。
高見さんは、キャリアコンサルティングの勉強が、自身の仕事の捉え方に何らかの影響を及ぼしたとか考えられていますか。
そうですね。キャリアコンサルタントを取った時点で、自己概念という言葉にはすごく魅力を感じていて、自己概念の明確化や、自己概念を成長させることがキャリア開発支援につながると思っていました。でも、正直言って、実感としてはそういったことがよくわからなかったし、学んだ内容をとりあえずやっているみたいな感じでした。
けれども、キャリアコンサルティング技能検定2級を取得した2年ぐらい前から、明確にキャリア支援とは、キャリア自律の支援だと思うようになりました。一人一人が自分で考えてやっていけるようになると良いのです。
ただ、人は思い、悩む。先ほど、他責思考が課題だという話をしましたが、私自身も他責に陥ってしまうことが多々あります。そんな時に寄り添える存在でありたい。組織全体がそんな風土なら、きっといきいきとした組織を実現できるのではないかと、2年ぐらい前から明確に考えるようになりました。
───あさひさんで高見さんが活動する中で、キャリアコンサルタントとしてどのような成果を感じていらっしゃいますか。
成果を可視化することが課題だと感じています。この4年間やってきたことで、どれだけの効果が上がったのか、例えばエンゲージメントの向上や、売上利益にもつながったことが示せればいいと思っています。しかしながら、他の企業の方とも話していますが、可視化はなかなか難しいですね。ただ、各種研修やカウンセリング勉強会後のアンケートでは、「キャリアビジョンの明確化につながった」、「自己理解が深まった」、「自分の能力開発計画の明確化につながった」といった項目についてはどんどん数字が上がっています。一年に一度行っている従業員満足度調査の中でも、いいスコアが出るようになっているので、自分のキャリアを考えられる人材が増えてきているのではないかと感じています。
───個人のキャリアの意識が変わってくることに加え、企業としては成果につながるかどうかが関心事だと思いますが、企業側の評価はどんな感じでしょうか。
具体的な評価は伝えられていないのですけども、キャリア開発支援についてはどんどん進めていくよう声をかけてもらっています。目に見えるところでは、公的資格とか社内資格制度への挑戦者が増えています。資格をもっていることと仕事ができることはイコールではありませんが、専門性、スキルの向上にはいい影響を及ぼして、実績は上がっていると考えています。
───最後に、これからキャリアコンサルタント資格の取得を目指す方たちに向けてメッセージをお願いします。
私自身、キャリアコンサルタント資格を取ってから大きく自分のキャリアが前進したと感じています。キャリアコンサルタントの資格は、資格を取って終わりではなくて、その後も一生学び続けられる素晴らしい資格だと思っています。
あとは、養成講座に通って同じ志の仲間と学び合えたというのも、私にとってすごくいい経験だったと感じています。今でも連絡を取り合ったり、勉強会で会ったりする仲間なので、資格だけではないものも得られるのがキャリアコンサルティングの学びのいいところだと感じています。ぜひ挑戦してもらいたいと感じています。
───ありがとうございます。高見さんは、資格取得後大きく前進されていらっしゃいます。それも資格をうまく活用して周りを巻き込みながら進み続けていらっしゃる。一生学び続けることが必要だけれど、逆に言えば一生を懸けるに足る資格だというメッセージと受け止めていいですか。
ありがとうございます。まとめていただいて(笑)
まずは国家資格キャリアコンサルタントを目指したい
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